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ビットコインやほかの仮想通貨(暗号資産)を支える技術であるブロックチェーンが注目を集めたのは2008年後半、Lehman Brothersの破綻と金融危機からわずか数週間後にビットコインのホワイトペーパーが公開されたときでした。ブロックチェーンの核にあるのは分かりやすい考え方です。ある集団が新しい情報に合意すると、データのブロックの連なりが継続的に更新されていく、というものです。仮想通貨の枠を超えて、データの保存やサプライチェーン管理など、さまざまな分野でも使われるようになりました。さらに、分散型金融(DeFi)として知られる、金融の世界における新しく刺激的なユースケースへの道も開きました。この興味深い技術と、それがもたらしうる影響を、もう少し掘り下げてみましょう。
DeFiとは?
DeFiは分散型金融(decentralized finance)の略称で、仮想通貨の領域でユーザーが利用できるあらゆる形の金融サービスを含みます。その名のとおり、分散型金融とは、金融サービスを監督する中央の権威や機関が存在しないことを指します。
従来型金融、いわゆるTradFiから分散型金融への移行を主に後押ししているのは、仲介者を必要としないピアツーピアの金融サービスの枠組みを求める動きです。TradFiは、取引のために銀行、ブローカー、そのほかの機関といった仲介者に依存します。このモデルは何十年もお金を支えてきましたが、取引手数料、データ漏えい、そして資産が凍結あるいは没収されうるという常につきまとう可能性といった代償を伴います。
分散型金融は、ユーザーがピアツーピアで取引し、数多くの金融サービスを利用できるプラットフォームを提供することで、その信頼のコストを取り除きます。たとえば、どこにいてもスマートフォンでお金を保管し、資金を借り、資産からかなりの利息を得ることもできます。
DeFiの仕組み
ブロックチェーンに支えられた金融サービスのプラットフォームとしてDeFiを理解するには、AppleのオペレーティングシステムであるiOSのようなプラットフォームを思い浮かべると分かりやすいでしょう。

AppleのiOSは、開発者とユーザーを結びつけるソフトウェアのプラットフォームです。開発者はPayPalやZelleといった決済サービスを含む数多くのアプリやサービスを作り、ユーザーはそれらをインストールして、金融的な用途を含むさまざまな目的で利用します。
同じように、イーサリアムのようなブロックチェーンでは、誰もが自由に使えるように、仮想通貨を中心とした価値あるアプリケーション(分散型アプリケーション、つまりdApp)をブロックチェーン開発者が作れます。こうした分散型アプリケーションは幅広いサービスを提供し、その代表例が金融です。
DeFiの何が違うのか?
ブロックチェーンのプラットフォーム上の分散型金融サービスは、従来の銀行システムといくつかの点で異なります。
仲介者がいなくても問題ありません。 従来、決済アプリは自社のプラットフォームにお金を預けるよう促し、後から引き出したり誰かに送ったり、場合によっては少し増やしたりできるとうたいます。たいていはそのとおりですが、それを保証するコードは1行も存在しないことは指摘しておく価値があります。つまり、法律、規制、そして開発者の誠実さに頼ることになるのです。分散型金融は、スマートコントラクトと呼ばれる新しい仕組みの上で動きます。スマートコントラクトとは、契約の条件が満たされたときに自動で実行されるコードです。たとえば、「D」の日に気温が「C」になったら資産「A」をユーザー「B」に送る、というスマートコントラクトを書けます。スマートコントラクトがあれば、取引相手を信頼する必要はありません。コードに直接書き込まれた合意の記述を見れば済みます。
中央の権威?結構です! デジタルかどうかにかかわらず、従来の金融システムは強く統制されています。JP Morganには業務を取り締まれる中枢の組織があり、AppleはiOSを所有し、誰が自社のプラットフォーム上でアプリを作れるかを決められます。アプリをいつでも削除することもできます。一方でブロックチェーンは、誰の管理下にもありません。プラットフォーム上で何を作れるか、何を取り除くかを決める人はいません。

KYCはそちらでどうぞ DeFiでは、Gem WalletのようなDeFiウォレットを使ってユーザーが直接やり取りできます。ユーザー情報を保持する仲介者がいないため、KYCの手続きは必須ではありません。KYCがないことで、プライバシーとユーザーの自律性が高まります。
国境のないサービス DeFiのサービスは場所を問いません。ユーザーは地理的な境界に縛られることなく、さまざまな金融商品を利用し、貸し、借り、投資できます。その結果、DeFiのサービスは包括的で、利用しやすく、世界中の人々に開かれたものとなり、世界規模で金融包摂とイノベーションを後押しします。
透明性 ブロックチェーンを土台としているため、DeFiのサービスは透明です。従来の決済システムのコードは開発者しか見られませんが、dAppは調べようと思えば誰でもブロックチェーン上で簡単に確認できます。ユーザーは取引の全履歴を精査して検証することもでき、開かれた状態と説明責任が保たれます。
どのようなDeFiサービスがあるのか?
DeFiは、多様で複雑な金融サービスを導入することで、ブロックチェーンのユースケースを広げています。たとえば次のようなものです。

レンディング:DeFiのプラットフォームでは、仮想通貨をほかの人に貸し出し、貸した金額に対する利息を得られます。
ローン:担保を差し入れることでDeFiのエコシステムからデジタル資産を借り、仲介者なしで流動性を得られます。
ステーキング:投資家は仮想通貨をロックしてネットワークのセキュリティを支え、取引を検証しながら報酬を得るステーキングに参加できます。
イールドファーミング:イールドファーミングは、DeFiのプロトコルに流動性を提供し、追加のトークンや利息という形で報酬を得るものです。
ベッティング:一部のDeFiプラットフォームは、将来の出来事や結果に賭けられる予測市場やベッティングのプロトコルを提供しています。
DeFiプロジェクトが直面する課題

ハッキングと盗難:DeFiのプラットフォームはコードの上に作られており、スマートコントラクトや分散型アプリケーションの脆弱性がハッキングや資産の盗難につながることがあります。取引はいったんブロックチェーンに記録されると取り消せないため、セキュリティ侵害はユーザーに深刻な結果をもたらしかねません。
高いリスク:DeFiのプロトコルは複雑な金融の仕組みを伴うことが多く、市場の大きな変動にさらされます。とくにイールドファーミングや流動性の提供に関わる場合、ユーザーは高い水準のリスクに直面し、慎重に管理しなければ大きな損失につながることがあります。
政府による規制の欠如:DeFiは従来の金融システムの枠外で動くため、政府当局の監督が及びません。これはより大きな自由と利用しやすさをもたらす一方で、規制による保護がないことから、ユーザーを潜在的なリスクや詐欺にさらすことにもなります。
まとめ
DeFiは、分散型の金融がもたらす可能性の世界を開きます。レンディング、ステーキング、イールドファーミングといった革新的なサービスを生み出し、私たちとお金との関わり方を定義し直しました。DeFiの国境のなさと透明性は計り知れない可能性を秘めていますが、規制の欠如やセキュリティ上の脆弱性といったリスクがあるため、慎重に踏み込む必要があります。DeFiのエコシステムが進化していく中で、情報を追い続け、責任ある使い方を身につけることが、待ち受ける課題を乗り越えながらその真の変革の力を引き出すうえで最も重要になります。


